「1.遺留分の対策をする」について  



まず、遺言書を作成することを前提 としています。

遺言書がないと、財産の分け方は長男さんと二男さんが自分たちで話し合うこと(遺産分割協議)によって決めることになります。
そうなると、長男さんが「お母さんは僕に財産をすべて残してくれると言ってた」と二男さんに主張しても、当然二男さんは納得しないですね。揉めることは必至です。



では、遺言書に「全財産を長男に相続させる」と記載をするとどうなるでしょうか?

いったんは遺言書どおりに 長男さんが全財産を取得することになるのですが、その後 二男さんは 長男さんにこう言うことができます。








遺留分とは、亡くなった被相続人に近い親族が「最低でもこの割合は相続財産を受け取ることができるという権利」のことです。

二男さんにも当然に遺留分があるので、長男さんは一度受け取った財産の中から遺留分にあたる財産(相続人が子供2人のみであれば4分の1)を渡さなければなりません。


 ※遺留分の割合は次のとおりです。














この遺留分の権利を強制的に無くすことは難しい2.相続人の廃除をご参照ください)ですが、遺留分に該当する財産を減らす対策をすることはできます。

(※なお、兄弟姉妹には遺留分がありません。「兄弟姉妹に一切財産を渡したくない!」という場合や、「兄や姉ではなく、配偶者やお世話になった方に全財産を渡してあげたい」ということであれば、そのような内容で遺言書を作成すれば、それで大丈夫です。)





代表的な遺留分対策は、次のようなものです。



① 生命保険の活用  



理由は割愛しますが、生命保険金は民法上 相続財産とはならないので、遺留分の計算には含まれません。
(※相続税の計算上は、相続財産とみなすものとして相続税の課税対象になります)







② 養子縁組の活用  

配偶者と子供2人がいるようなケースでは、子供の遺留分は8分の1ずつです。

例えば、長男の子供(孫)を養子にした場合には、相続人は配偶者と子供3人となり、二男の遺留分は12分の1まで減ります。
2人を養子にした場合には、二男の遺留分は16分の1になります。





養子も相続人になりますので、実の子供たちと同じように相続分や遺留分が発生します。
養子縁組をすることによって、余計なトラブルが発生しないように注意する必要があります。






このような遺留分対策ですが、遺留分を少なくすることを目的としてされたものは無効 というような取り扱いを受けてしまう場合があります。

中途半端な対策では対策として効果がなかったり、争いを激化する要因となったりする可能性もあるので、注意が必要です。






また、遺留分の対象となる財産は、亡くなったときに持っていた財産だけではありません。

子供や配偶者等に対して、生前に行っていた贈与についても遺留分の対象になります。

・相続人に対して → 亡くなる前10年間の生前贈与については、遺留分の対象になります。
・相続人以外に対して → 亡くなる前 1年間の生前贈与については、遺留分の対象になります。





上記とは別に「渡す側ともらう側で、遺留分を侵害することを知っていた場合にされた贈与」についても、すべて遺留分の対象となってしまいます。

ということが立証された場合には、遡ってすべての贈与が遺留分の対象となってしまいます。







「2.相続人の廃除」について

 

 

相続人の廃除とは「相続人としての地位も 上記の遺留分を請求する権利についても すべて取り上げてしまう」という制度です。
認められるためには裁判所への手続きが必要で、認められるためのハードルも高いです。

民法上は、被相続人への虐待、重大な侮辱行為、その他の著しい非行を廃除の事由として定めていますが、被相続人への虐待や侮辱行為があったとしても 一時的なものではないか、被相続人側にも多少は責任があったのではないか、など背景事情まで慎重に詳細に審理されます。



どのようなケースで廃除が認められ、どのようなケースで廃除が認められなかったのか について簡単にご紹介しますね。


争いになった結果、廃除が認められた事例 

・ギャンブルで被相続人の多額の財産を使ってしまい、自宅まで売却せざるを得ない状況にまで追い込んだ

・窃盗や交通事故、借金を繰り返し、被相続人が何度もその被害弁償や借金返済をしてきた

・末期癌の手術後、自宅療養中であった被相続人に暖房のない中での療養を強いた(冬季は最高気温が氷点下となるような地域であった)ほか、人格を否定するような発言を繰り返し行っていた


争いになった結果、廃除が認められなかった事例 

・暴力や暴言は日常的に繰り返し行われていたが、相互に原因があり、家の手伝いをしてくれるなど一定の協力関係があった

・消費者金融から多額の借金を繰り返した

 

 

 

 

なお、二男に子どもがいる場合 二男を相続人から廃除しても 二男の子供が代わりに相続人になってしまいます。

苦労して二男から相続権を剥奪しても、二男の子どもが相続人になるならあまり意味がない気がしますね💦


  

 

 

 

 

相続人の廃除はとてもハードルが高く、争いとなった場合に廃除が認められているのは2割程度のようです。

廃除に至るまでの状況でなければ 「 遺留分の対策を検討したうえで、渡る財産が最小限になるように遺言書を作成する 」ということが現実的な対応策だと思います。



遺留分の対策は非常に複雑です
遺留分まで考慮した 遺言書の作成・相続対策は、是非トライウィンまで✨