共同相続について解説!【範囲、問題点や注意点】
共同相続って、耳にされたことはありますか?
銀行の相続手続きや、不動産の相続登記変更に関連する用語ですが、なんとなく聞いたことはあってもよく分からないという方も多いかもしません。
そこで、今回は『共同相続』について、解説していきたいと思います。
共同相続ってなに?【わかりやすく解説】
『共同相続』とは、亡くなった方の遺産がそれぞれの相続人にまだ分割されておらず、全員で共有している状態のことを言います。
通常、遺産分割協議(相続人間の話し合い)を経て、各々に故人の遺産が分割されることによって、『共同相続』の状態が解消されます。
つまり『共同相続』とは、相続が発生してから(お亡くなりになられてから)、遺産分割が終わるまで、相続財産が一時的に相続人全員で共有されている状態のことを指します。共有されている財産は、その名のとおり、『共有財産』と呼びます。
共有財産 | お亡くなりになった方の財産で遺産分割の対象となるもの(詳細は後述) ※ 遺産分割が終わるまでは相続人全員の共有財産となる |
---|---|
共同相続 | 遺産分割が終わるまでの間、相続人全員で遺産(共有財産)を共有している一時的な状態のこと |
共同相続の解消 | 遺産分割によって、共有相続の状態が解消される ※ 分割協議の内容に沿って、共有財産が各相続人の固有の財産に |
(共同相続の効力)
第898条 相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する。
| 民法 |
まとめ:『共同相続』は、遺産分割が未了のため、相続人全員で共有している状態のこと。
どんなものが共有財産(共有相続の状態)になる?
共有財産として共有相続の状態になるものの範囲は、基本的にお亡くなりになった方の相続財産の全てです。
主に以下のようなものが挙げられ、法定相続割合と同じ持分割合で、相続人全員で共有している状態になります。
- 【共同財産(共同相続の状態)となるもの】
- ・ 預金
- ・ 現金
- ・ 株式
- ・ 不動産 など
一方、例外的に共有財産とならないものもあります。
受取人があらかじめ決まっていて遺産分割の対象とならない、死亡保険金や退職金などです。
- 【共同財産(共同相続の状態)とならないもの】
- ・ 死亡保険金
- ・ 退職金
共有財産のままだとマズイ?共同相続の問題点
前述のように、『共同相続』の状態は、遺産分割が終われば解消されます。
しかし例えば分割協議が難航し、共同相続のままとなった場合、いろいろな問題や注意点があります。
◯ 預貯金が共同相続のままだと?
預貯金は相続発生(お亡くなりになる)すると、一旦口座が凍結されます。その後凍結された口座に対して、遺産分割の話し合いの結果に基づいて、名義変更(誰かが口座を引き継ぐ場合)や、解約(現金化して分割する場合)などの手続きを行う必要があります。
分割協議が終わっている場合は、比較的簡単に手続きができます。
しかし、共同相続の状態の場合、法定相続人全員が同意している前提で、全員の実印押印・署名、印鑑証明書の提出などが必要であり、書類の準備などに手間や時間を要します。
→ 銀行の手続きに関する記事はこちら(福岡銀行・西日本シティ銀行)
→ 銀行の手続きに関する記事はこちら(佐賀銀行・佐賀共栄銀行)
◯ 不動産が共同相続のままだと?
共同相続の状態でも、相続人それぞれが単独で登記が可能です。この場合、それぞれが登記できる不動産の持分割合は、法定相続の割合と同じになります。しかし、売却は相続人全員の同意がなければできないため、トラブルの元になりやすいです。
また、登記費用が二重にかかるというのもデメリットの一つです。共同相続の状態で登記する場合、登記費用がかかり、遺産分割協議の内容に基づき再度登記をする際にも、また登記費用がかかります。
なので、なるべく早く分割協議を終わらせて共同相続の状態を解消し、共同相続の登記は省略して、遺産分割に基づく登記手続きだけをするのがオススメです。