配偶者が財産を相続すると配偶者控除で相続税が非課税に?

配偶者は相続税が非課税に?相続の配偶者控除とは?

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今回は相続に関する配偶者さまの優遇措置について、ご説明していきたいと思います。

相続税には、配偶者の税額の軽減制度が設けられています。
ざっくりいうと、配偶者は亡くなった方が築いた財産への貢献が大きく、高齢であり老後資金確保への配慮が必要なケースも多いことから、配偶者が相続した財産については、あまり税金がかからないように保護しようという特例です。
この配偶者の税額の軽減の制度は、一般に「相続税の配偶者控除」と呼ばれることが多いですね。

配偶者控除の計算方法は?

相続税の配偶者控除は、いくらまで認められるのでしょうか。

配偶者は、1億6千万までは相続した財産に対して相続税がかかりません
また、1億6千万を超えても、法定相続分までであれば、同じく相続税が発生しません

配偶者の法定相続分ってどれくらい?

それでは、配偶者の法定相続分とはどれくらいの割合なのでしょうか?
まず、配偶者が最低限相続できる財産の割合は、民法で定められており、これを法定相続分と呼びます。
配偶者の法定相続分は相続人の構成によって異なり、以下のようになります。

相続人の構成 配偶者の法定相続割合
配偶者のみ 全額
配偶者+子供 1/2
亡くなった方の親が健在
(子どもなし)
2/3
亡くなった方の兄弟がいる
(子ども及び亡くなった方の親なし)
3/4

配偶者が相続した財産が上記割合の範囲内であれば、配偶者に相続税はかからず無税となります。

配偶者控除を適用するための条件は?申告要件に注意!

相続税の配偶者控除は、たいへんありがたい制度ですが、適用するためには3つの条件を満たす必要があります。

① 戸籍上の配偶者であること

まずは、対象となる配偶者は戸籍上の配偶者でなくてはなりません。内縁の妻ではNGです。

② 遺産を隠蔽していないこと

もし申告すべき財産を隠していた場合には、発覚後に期限後申告したとしても隠してた財産に配偶者控除を適用することはできません。

③ 相続税の申告書を税務署に提出すること

通常、相続税を納税する必要がない場合、相続税の申告書を税務署に提出する必要はありません。
人が亡くなった場合に、すべてのご遺族に相続税の申告が求めらているわけではありませんよね。
ただし、配偶者控除を適用した結果として相続税がゼロとなった(納付の必要がなくなった)場合は、申告書を提出する必要があります。
なぜなら申告書で、配偶者が相続した財産金額と、相続人の構成・配偶者の法定相続割合を確認しないと、本当に納税する必要がないのか税務署が判断のしようがないからです。

まとめ:配偶者控除で納税ゼロな場合も。ただし、申告提出が必要!

相続の配偶者控除のデメリット?二次相続の落とし穴

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「なるほど、配偶者にいっぱい相続させて、配偶者控除を利用すれば相続税が一番お得になるのね。めでたし。めでたし。」
そう思われた方。ちょっと待ってください!

確かに、配偶者にたくさん相続させると、その時(一次相続)の相続税が安くなるメリットはあります
しかし、その分配偶者の財産が増えるので、配偶者が死亡した時(二次相続)の相続税は高くなり、一次相続と二次相続の合算で考えると逆に相続税が高くなってしまうという現象が起こってしまいます。
なので、配偶者控除の利用や、財産をどのように分割したらご家族全体として有利になるかは、二次相続を勘案して総合的に検討する必要があります。

まとめ:配偶者控除の利用は、二次相続を見据えて計画的に!

また配偶者控除だけでなく、令和二年4月1日から配偶者居住権の制度も新設されました。
お住いの自宅について「住む権利」と「所有する権利」を分けて、配偶者が「住む権利」を相続した場合、配偶者が亡くなった時に相続財産としてカウントされず、二次相続時の相続税が節税できる可能性がある制度です。

配偶者居住権については、以下の記事にも詳細なご説明をしておりますので、ぜひご一読ください。

税理士から見た配偶者居住権について ~相続税の節税~

遺言書への配偶者居住権の書き方・記載例