コロナの相続税申告への影響。期限は延長可能?税務調査は緩くなる?

コロナの影響で相続税の申告期限は延長される?

コロナ申告期限延長

今回は、相続税申告に与える新型コロナウイルスの影響についてご説明していきたいと思います。

コロナ禍における相続税の申告期限の延長措置について、令和2(2020)年4月に国税庁から公表された、『相続税の申告・納付期限に係る個別指定による期限延長手続に関するFAQ』で、以下のように明示されておりました。「感染拡大により外出を控えている方」など、柔軟な理由による期限延長が認められているのが特徴です。

  • 新型コロナウイルス感染症の影響により、相続人等がその期限までに申告・納付ができないやむを得ない理由がある場合には、個別に申請していただくことにより期限の個別延長が認められます。
  • このやむを得ない理由については、新型コロナウイルス感染症に感染した方はもとより、体調不良により外出を控えている方や、平日の在宅勤務を要請している自治体にお住まいの方感染拡大により外出を控えている方など、新型コロナウイルス感染症の影響により、申告書を作成することが困難なケースなどが該当することになります。
  • なお、個別の申請により申告期限等が延長されるのは申請を行った方のみとなり、他の相続人等の申告期限等は延長されませんのでご注意ください。

出典:『相続税の申告・納付期限に係る個別指定による期限延長手続に関するFAQ』 | 国税庁(過去掲載内容、抜粋・加工)

しかし、令和2(2020)年12月15日に『国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ』に集約・更新され、相続税の申告に関する明示的な延長理由は、以下のみが明記されるのみとなりました。

  • 相続人の一人が新型コロナウイルス感染症に感染したことなど

出典:『国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ』 | 国税庁(抜粋)

福岡税務署に確認したところ、感染拡大により外出を控えているケースなどが認められなくなったわけではなく、例示内容が整理されただけ、という回答でした。

これは私見ですが、例示の範囲が縮小したのは、「感染防止」を理由にした安易な期限延長を認めない意図が感じられますし、管轄税務署や担当者によって、見解が異なる可能性もあります。なので、コロナの影響に伴う延長手続きについては、今までより慎重に対応した方が安全と考えられます。

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まとめ:感染拡大で外出自粛している場合なども期限延長できる可能性あり!

相続税の申告期限延長のための手続きは?

相続税申告期限延長手続き

相続税の申告期限延長するためには、「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を提出する必要があります。
本来は10ヶ月以内に申告する必要がありますが、この申請に伴い、延長理由がやんだ日から2か月以内まで申告期限が延長されます。

延長申請は相続人それぞれが提出する必要があり、申請を行わない他の相続人の申告期限は延長されませんのでご注意ください。

例えば、以下のケースでは、相続人の4人がそれぞれ期限延長の申請をする必要があります(お母さまだけの申請ではNG)。

  • 相続人はお母さまと、自分を含めた子供たち3人(相続人は計4人)
  • お母さまが新型コロナウイルス感染症に感染
  • 上記により、分割協議の一時中断を余儀なくされ、相続人全員が期限内に申告することが難しくなった

まとめ:所定の申請書の提出により、最大2か月の申告期限延長が可能。

コロナのおかげで相続税の税務調査のリスクが減る?

コロナ相続税税務調査

コロナ禍における相続税の税務調査の動向も関心のひとつかもしれません。
相続税を含む税務調査は、通常、対面で現物確認調査が行われます。また、相続税の調査対象となる方はご高齢の方も多いため、一時的には税務調査の執行は減少傾向になると思われます(実際、何度か税務調査の再開が延期されています)。

しかし、税務署が調査が必要と判断した先を無視することは考えにくいですし、また申告から税務調査まで2年程度間が空くことが多いため、コロナによって税務調査のリスクが低くなるとは考えない方がいいでしょう。
相続税の申告と並行して、しっかりと税務調査の対策をオススメいたします

まとめ:税務調査にはタイムラグあり。コロナ禍も入念な準備が必要!