相続税の申告の期限はいつまで?

相続税の申告手続きの期限はいつなのか?

相続税申告期限

こんにちは、税理士法人トライウィンコンサルティングです。

相続の申告期限は、お亡くなりになられた日から10ヶ月以内(申告期限が土曜・日曜・祝日に当たる場合は、その次に来る平日が期限)となっています。納付期限も同じタイミングで、10ヶ月以内に税金の支払いも完了する必要があります。

以下のような特殊な事情がない限り、延長はできません。

  • 災害などやむを得ない理由が発生した場合
  • 相続開始の時に相続人となるべき胎児がいる場合
  • 新型コロナウイルス感染症の影響により、期限までに申告・納付ができないやむを得ない理由がある など

※上記に該当し申請した場合は、2ヶ月の延長が認められます。

納付方法は、一括納付が原則ですので、納税資金の確保も重要です。

また申告期限は10ヶ月以内ですが、それより前に期限が設定されているものがあるので、注意が必要です。

お亡くなりになられた方の所得税について、お亡くなりになられた日から4ヶ月以内に、準確定申告という形で通常の確定申告の代わりに提出する必要があります。通常の確定申告の申告期限は、毎年3月15日までですが、お亡くなりになられた方の確定申告(準確定申告)は、4ヶ月以内なのでご注意ください。

また相続を放棄する場合は、お亡くなりになられた日から3ヶ月以内に所管の家庭裁判所に、所定の書類を提出する必要があります。
こちらはさらに期限が短く、気づいたら期限を過ぎていたということになりかねないので、相続放棄については特に早めに検討されることをオススメいたします。

相続の申告手続きに関する期限一覧(流れ)

期限

手続き

3ヶ月以内

相続放棄

4ヶ月以内

準確定申告

10ヶ月以内

相続税申告・納付

結論:相続税申告・納付期限は10ヶ月以内。より短い期限の手続きにも注意!



相続の申告の期限を過ぎたらどうなる?

相続税申告期限超過

相続の申告が期限切れになってしまうと、大きく2つのデメリットがあります。

  • ペナルティとして罰金がかかる
  • 相続税の優遇措置(配偶者控除や小規模宅地の特例など)が適用できない

どちらも支払い額が多くなるため、可能な限り期限内に相続税の申告をすべきです。

① ペナルティとして罰金がかかる

遅れて期限後申告した場合、利息として延滞税、罰金として無申告加算税がかかります。
期限内に申告したものの、その申告金額が少なかった場合は、足りなかった申告金額に対して、過少申告加算税が課されます。
またどちらの場合も、悪質な租税回避と税務署から判断された場合などは、重加算税が課せられます。

相続税の申告期限を過ぎた(正しい金額を納めなかった)場合のペナルティ一覧

種類 内容 金額
延滞税 借金の利息のようなもの。
納めるべき金額に対し、延滞した期間に応じて発生。
  • 納付期限から2ヶ月以内:年2.6%
  • 納付期限から2ヶ月以降:年8.9%
無申告加算税 必要な申告を期限内にしなかったことに対するペナルティ。
  • 期限後自ら申告:5%
  • 税務署の指摘で申告:20%(※)

(※)納付税額が50万円以下の部分は15%

過少申告加算税 申告はしたけれども納付が過少だったことに対するペナルティ。
追加納付金額に対し発生。
  • 期限後自ら申告:0%
  • 税務署の指摘で申告:15%(※)

(※)追加納付税額が50万円以下の部分は10%

重加算税 事実の一部を隠ぺいし、または、仮装した場合のペナルティ。
  • 一応申告はしている:35%
  • 申告もしていない:40%

② 相続税の優遇措置(配偶者控除や小規模宅地の特例など)が適用できない

1億6千万円までの配偶者が相続した財産に対して相続税がかからない「配偶者の税額の軽減」や、住んでいる土地などの相続財産に対して評価額を減額できる「小規模宅地等の特例」などについて、期限内の申告が条件となっています。申告期限を過ぎるとこれらの優遇措置が使えなくなるため、使える場合に比べて納税額が大きく跳ね上がる可能性があります。

まとめ:期限超過は、ペナルティや、特例の不適用など、デメリットだらけ!

相続の申告期限に間に合わない!そんな時の対処法

相続税申告期限対処法

申告期限を遵守するに越したことはありませんが、どうしても間に合わない場合、以下の2つの対処方法が考えられます。

  • 概算で申告する方法(正確な計算が期限内にできない場合)
  • 「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出する方法(期限内に分割協議が終わらない場合)

① 概算で申告する方法(正確な計算が期限内にできない場合)

相続財産の評価などが期限内にできない場合、概算で相続税を計算してとりあえず申告してしまう方法です。これによって、無申告加算税などの発生を回避できます。
またこの際、過少申告加算税の発生も回避するため、概算額を多く見積もるのがベターです。その後、精緻に相続税を計算し、更正の請求により、納め過ぎた相続税を還付してもらいます。

② 「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出する方法(期限内に分割協議が終わらない場合)

法定相続分で相続財産を分割したと仮定して、一旦相続税を納税します。その後、分割協議がまとまってから、最終的な相続税を計算し、改めて申告し直します。
申告期限内に仮の申告をする際は適用できませんが、再申告の際に、配偶者控除や小規模宅地の特例などが適用可能です。

上述のように相続税の申告期限に間に合わなかった場合、さまざまなデメリットが発生します。
なので、申告手続きや、相談機関への連絡などを、メンドくさがらず、早めに行動を起こすことが大事です。
税理士費用を抑えたいという理由から、自分で申告手続きをしようとして、思いのほか煩雑なので、放置してしまう方がいらっしゃいますが、相続の申告期限に間に合わず、追加でペナルティを支払うことを考えると、税理士に依頼した方がはるかに安上がりですので、税理士の活用も検討してみてもいいかもしれません。

まとめ:概算申告や分割見込書(仮申告)などで、間に合わないに対処!